ハワード・マークスの名言20選|オークツリーキャピタル会長が説く『市場サイクル』と第二段階思考

ハワード・マークス(Howard Marks、1946年4月23日〜)は、運用資産約 2,050 億ドル(2024 年時点)のオークツリー・キャピタル・マネジメント(Oaktree Capital Management)の共同創業者・会長。ディストレス債券投資の第一人者として、1995 年創業以来 20% 超の年率リターンを叩き出してきた伝説的投資家です。彼が顧客向けに書き続けている「ハワード・マークスのメモ(Oaktree Memos)」は、バフェットが「私の机に届くと、まずこれを読む」と公言するほど投資界で尊敬されています。

マークスの哲学は「リスク認識」と「市場サイクル理解」の 2 軸に集約されます。2008 年の金融危機の底で、彼は他の投資家が逃げる中ディストレス債券を 300 億ドル買い増し、2010 年以降の回復で巨額の利益を上げました。この逆張りの大胆さを支えたのは、サイクルへの深い洞察と第二段階思考でした。

第二段階思考(Second-Level Thinking)の名言

マークスの最も有名な概念が「第二段階思考(Second-Level Thinking)」です。第一段階思考は「この会社は良い → 株を買う」だが、第二段階思考は「この会社は良いが、みんなそう思っているから株価は高すぎる → 買わない」と一歩深く考える。投資で平均を上回るには、誰もが認識している情報から、もう一段深い洞察を引き出す必要があるという考えです。

「投資の成功は、他人と同じ情報から、他人と違う結論を導き出すことから生まれる。」

出典:The Most Important Thing(2011年、邦題『投資で一番大切な 20 の教え』)、第 1 章「Second-Level Thinking」.

「第二段階思考者は、他人が見逃していることを見ようとする。第一段階思考者は、ただ反応するだけだ。」

出典:The Most Important Thing(2011年)、第 1 章.

「一般的な投資家は第一段階思考だけを使う。だから、平均以上のリターンは得られない。」

出典:The Most Important Thing Illuminated(2013年). 本の改訂版での補足として。

市場サイクル(Market Cycles)の名言

マークスの第2の核心テーマが「市場サイクル」です。経済・信用・リスク認識・楽観/悲観——これらは常に振り子のように行き来しており、賢明な投資家は今がサイクルのどの位置にあるかを判断して行動する。2018 年の著書『Mastering the Market Cycle』(邦題『市場サイクルを極める』)は、このテーマの集大成です。

「未来を予測することはできない。しかし、今がサイクルのどの位置にあるかを把握することはできる。」

出典:Mastering the Market Cycle(2018年、邦題『市場サイクルを極める』). サイクル認識の核心。

「市場は振り子のように、楽観と悲観、強欲と恐怖の間を行き来する。しかし真ん中で止まっている時間はほとんどない。」

出典:Oaktree Memo "The Happy Medium"(2004年). 感情サイクルについて。

「サイクルは必ず訪れる。それを否定する投資家は、必ず大きく傷つく。」

出典:Mastering the Market Cycle(2018年).

リスクと不確実性の名言

マークスのリスク論は独特です。彼にとってリスクとは「永久的な資本損失の可能性」であり、ボラティリティ(変動性)ではないと断言します。また、リスクはあからさまに見えるわけではなく、市場が楽観的な時こそ水面下で最大化する——この「リスクの隠蔽性」への感覚が、彼の逆張り投資を支えています。

「リスクとはボラティリティではない。永久的な資本損失の可能性である。」

出典:The Most Important Thing(2011年)、第 5 章「Understanding Risk」.

「リスクは、市場が最も安全そうに見える時に最大となり、最も危険そうに見える時に最小となる。」

出典:Oaktree Memo "Risk"(2006年1月). リスクの逆説的性質について。

「経験とは、自分の望んでいなかったものを得た時に得られるものである。」

出典:The Most Important Thing(2011年). 投資の失敗から学ぶことについて。

逆張りと群衆心理の名言

マークスは 2008 年のリーマンショック時、オークツリーが 300 億ドルの投資機関として史上最大のディストレス債券買い付けを実行。「誰もが逃げる時こそ、最も安く、最も質の良いものを買える」という逆張り姿勢が、その後 10 年の驚異的リターンを生みました。彼にとって「ひねくれ者になる勇気」は、平均以上のリターンの必須条件です。

「ほとんどの人がやっていることは、正しいと思うからやっているのではなく、みんながやっているからやっているのだ。」

出典:Oaktree Memo "Dare to Be Great"(2006年9月). 凡庸な運用者の現実について。

「平凡な成績でいいなら、群衆に従え。傑出した成績が欲しいなら、群衆から離れよ。」

出典:Oaktree Memo "Dare to Be Great II"(2014年4月).

「強欲と恐怖は、最高の時と最悪の時に、最も強く人間を支配する。だからこそ、その瞬間に冷静でいることが差になる。」

出典:Mastering the Market Cycle(2018年).

価格とバリューの関係の名言

マークスにとって「良い投資」と「悪い投資」の違いは、資産の質ではなく「価格」で決まります。「世界で最も素晴らしい会社でも、高すぎる価格で買えば悪い投資。平凡な会社でも、安すぎる価格で買えば良い投資」——この価格への徹底的な注意が、グレアム・バフェット系の正統なバリュー投資の系譜を体現しています。

「良い会社の株を高く買うのと、悪い会社の株を安く買うのとでは、どちらが良い投資かは明確ではない。」

出典:The Most Important Thing(2011年)、第 4 章「Value」.

「投資とは、価値のあるものを、その価値より安く買うことだ。それ以外は全て投機である。」

出典:The Most Important Thing(2011年). Graham の定義を踏まえて。

投資家の資質と謙虚さの名言

マークスは成功の秘訣を「謙虚さ」と「不確実性の受容」に求めます。「自分が何を知らないかを知っている」投資家こそが、長期的に生き残る。彼のメモは常に「これは私の意見であり、間違っている可能性がある」という但し書きで始まる点で、他の投資家の傲慢な確信と一線を画します。

「我々は未来を知らない、という認識から、謙虚さと適切な投資行動が生まれる。」

出典:Oaktree Memo "The Role of Confidence"(2013年8月).

「自分が間違っている可能性を常に意識せよ。これが投資で生き残る唯一の方法である。」

出典:The Most Important Thing(2011年).

「傑出した投資家の特徴は、才能ではなく、自己認識の深さだ。」

出典:2015年 Bloomberg インタビュー.

まとめ

ハワード・マークスの名言は、投資家の「知性」と「感情コントロール」の微妙なバランスを描き続ける現代の古典です。第二段階思考、市場サイクルの理解、リスクの認識、逆張りの勇気、そして謙虚さ——これらは独立しているようで、実は「自分が何を知らないかを知る」という一つの態度から派生しています。オークツリーのメモがバフェットをも唸らせる理由は、派手な予測ではなく、この徹底的な自己認識にあるのです。

よくある質問

ハワード・マークスの最も有名な名言は?

著書『The Most Important Thing』(2011年、邦題『投資で一番大切な 20 の教え』)で展開した「投資の成功は、他人と同じ情報から、他人と違う結論を導き出すことから生まれる」が代表的な言葉です。これは彼の代名詞である「第二段階思考(Second-Level Thinking)」を凝縮したフレーズです。

ハワード・マークスはどんな投資家ですか?

ハワード・マークス(1946年4月23日生)は、運用資産約 2,050 億ドル(2024 年時点)のオークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者・会長です。ディストレス債券投資の第一人者として、1995 年創業以来 20% 超の年率リターンを叩き出してきた伝説的投資家で、彼が顧客向けに書き続けている「Oaktree Memos」はバフェットが「私の机に届くと、まずこれを読む」と公言するほど投資界で尊敬されています。

「第二段階思考」とは何ですか?

第一段階思考が「この会社は良い → 株を買う」だとすると、第二段階思考は「この会社は良いが、みんなそう思っているから株価は高すぎる → 買わない」と一歩深く考える方法です。マークスは「一般的な投資家は第一段階思考だけを使う。だから、平均以上のリターンは得られない」と述べ、誰もが認識している情報からもう一段深い洞察を引き出すことの重要性を説いています。

マークスのリスクの定義とは?

マークスは「リスクとはボラティリティではない。永久的な資本損失の可能性である」と『The Most Important Thing』で定義しています。さらに「リスクは、市場が最も安全そうに見える時に最大となり、最も危険そうに見える時に最小となる」と述べ、楽観の最中にこそリスクが水面下で最大化するという逆説を強調しています。

ハワード・マークスの名言から何が学べますか?

「未来を予測することはできない。しかし、今がサイクルのどの位置にあるかを把握することはできる」という洞察から、サイクル感覚の重要性を学べます。また「平凡な成績でいいなら、群衆に従え。傑出した成績が欲しいなら、群衆から離れよ」「傑出した投資家の特徴は、才能ではなく、自己認識の深さだ」という言葉は、逆張りと謙虚さの両立が長期的成功の鍵だと教えてくれます。

名言の学校 編集部 日本語・英語・スペイン語・ポルトガル語の4言語で名言を検証・解説する多言語編集部。すべての名言は一次資料による出典確認を経て公開。