渋沢栄一の名言・格言60選|日本資本主義の父『論語と算盤』の道徳経済合一・成功・信用・人生の言葉
渋沢栄一(1840年〜1931年)は、「日本資本主義の父」と称される明治・大正時代の実業家です。埼玉県深谷市出身で、幕府役人としてフランスに渡航し、近代的な株式会社の仕組みを学んで帰国。第一国立銀行(現みずほ銀行)をはじめ、東京海上保険・東京ガス・東洋紡など500社以上の設立に関与しました。新1万円札の肖像にも選ばれ、その功績は今もJR東日本・日本郵船など現在の大企業に受け継がれています。91歳で没するまで社会事業にも尽力した、日本近代経済の礎を築いた人物です。
渋沢栄一の言葉には、「道徳と経済は一体である」という一貫した哲学が流れています。私利私欲ではなく社会全体の豊かさのために事業を行うという「道徳経済合一」の精神は、今日のSDGsやESG経営の先駆けとも言えます。ここでは、渋沢栄一の代表的な名言30選をテーマ別にご紹介します。
渋沢栄一って何をした人?
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1840年3月16日 |
| 出身地 | 埼玉県深谷市 |
| 初期の職業 | 幕府の役人、エジソン電気会社の技師長 |
| 転機 | 海外留学、日本初の株式会社設立、大蔵省入省 |
| 主な業績 | 第一国立銀行開業、多数の企業設立、教育機関設立 |
| 信条 | 「世のため人のために働いて儲ける」 |
| 死去 | 1931年11月11日 |
| 死因 | 直腸がん |
渋沢栄一は、日本の近代化に大いに貢献した人物として知られています。彼は1840年に現在の埼玉県で生まれ、幼少期から学問に励みました。その後、幕府の役人となり、海外への留学を経験しました。この経験が彼の視野を広げ、日本の近代化に向けた情熱を燃やすきっかけとなりました。帰国後、彼は日本初の株式会社を設立し、その後も多くの企業設立に関わりました。また、彼は「世のため人のために働いて儲ける」という信条を持ち、その考え方は「渋沢栄一精神」として今日まで引き継がれています。彼はまた、教育にも力を入れ、多くの学校や教育機関を設立しました。その中でも特筆すべきは、日本女子大学の設立です。これは女性の教育と社会進出を推進するための重要な一歩でした。彼の業績は数え切れないほどありますが、その中でも特に影響力があったのは、日本の近代化と産業革命における役割です。彼のビジョンと行動力があったからこそ、日本は急速に近代国家へと変貌を遂げることができました。渋沢栄一は91歳で亡くなりましたが、その遺志は今日でも多くの人々に引き継がれています。彼が残した教材や書籍は現在でも読み継がれており、その影響力は計り知れません。
渋沢栄一のエピソードや功績
渋沢栄一は27歳の時にフランスへの留学を経て、西洋の近代文明に衝撃を受けました。彼は日本に近代的な経済の仕組みを次々と取り入れていき、日本初の銀行や株式会社の設立、その後500以上の会社を設立します。彼のその業績をエピソードと共に確認していきましょう。
フランスへの留学と日本の近代化
渋沢栄一は、1867年に27歳の時、徳川慶喜の弟昭武を代表とする一行の随員として、パリ万国博覧会に出席し、その後も約1年半にわたりフランスおよびヨーロッパ諸国に滞在しました。この経験が彼の人生と日本の近代化に大きな影響を与えました。渋沢はこのヨーロッパ滞在中に「株式会社」という仕組みを学び、その仕組みに感銘を受けました。株式会社とは、多くの人から資金を集めて会社を運営し、利益が出れば出資者に利益を還元するという仕組みで、これをウィンウィンの仕組みと考えました。この仕組みを日本に持ち帰り、日本初の株式会社「商法会所」を設立しました。
日本初の銀行(現みずほ銀行)の設立
渋沢栄一が銀行を設立したエピソードは、彼が大蔵省時代に国立銀行条例の制定に携わったことから始まります。この条例は、当時の日本で通貨制度が混乱していたため、新貨幣の製造と旧紙幣の回収、これまで発行されていた不換紙幣の整理が急務だったため、金貨兌換の国立銀行券を発行し流通させるように制定されました。この国立銀行条例により民間による銀行設立が可能となりました。大蔵省を退官した直後、渋沢栄一は三井の大番頭である三野村利左衛門や小野組の小野善右衛門らから声をかけられ、銀行設立を考えました。その結果、1872年11月に国立銀行条例が発布され、三井小野組合銀行は政府の許可を受けて第一国立銀行に改組し、日本で初めて開業した銀行となりました。しかし、設立翌年、第一国立銀行は大きな危機に見舞われました。それは、出資者であり最大の貸出先だった両替商、小野組が破産したことでした。しかし、渋沢栄一はあきらめず、小野組の番頭の一人、古河市兵衛に頼み込んで私財を提供してもらい、倒産を免れました。これらのエピソードは、渋沢栄一の努力と決断力により、日本の金融システムの基盤が築かれ、日本の近代化に大きく寄与したことを示しています。
新1万円札の肖像画
渋沢栄一は、2024年度上半期に発行予定の新1万円札の肖像に選ばれました。彼は「日本資本主義の父」とも呼ばれ、生涯にわたり500もの企業設立などに関与しました。その功績は、日本郵船、帝国ホテル、第一国立銀行(後のみずほ銀行)、東京証券取引所、一橋大学など、現在も存続する多くの企業や機関に名を連ねています。新1万円札のデザインや偽造防止技術、ユニバーサルデザインについても紹介されています。新紙幣は、150年以上にわたり培った偽造防止技術の結晶とされています。なお、現在発行されているお札、過去に発行されたお札については、引き続き使用可能です。新しいお札の発行に伴い、現行のお札と新しいお札が一緒に流通することになります。
実業家としての実績と日本の近代化
渋沢栄一が設立に関与した企業の一部を紹介します。名だたる大企業ばかりで、一万円札の肖像に選ばれる理由も頷けます。
- 東京海上保険(現在の東京海上日動):1879年に設立され、日本で初めての海上保険会社でした。海外
- 東京瓦斯(現在の東京ガス):明治維新後、海外との交流が活発になると同時に、ガスが日本人の生活に取り入れられるようになってきました。横浜でガス事業が始まり、ガス灯が夜道を照らすようになったのです。間もなく東京にもガス灯が輝き始めましたが、まだガス事業は官営で行われていました。そこで渋沢栄一がガス事業に乗り出し、1885年に民間で初となるガス会社「東京瓦斯」が誕生したのです。
- 大阪紡績(現在の東洋紡):貿易が盛んになるにつれ、業績が伸び悩む産業が出てきました。紡績業もその一つです。海外から良質な綿製品が大量に輸入されると、どうしても国内の綿製品生産量が減少してしまいます。紡績業の衰退を懸念した渋沢栄一は、旧大名や商人から出資を募り、近代的設備を整えた工場の設立を急ぎました。1882年、ついに栄一の奔走が実を結び、「大阪紡績」が設立されたのです。
「論語と算盤」の名言でわかるビジネス
『論語と算盤』は、渋沢栄一が日本の近代化において道徳と経済の調和を図るために著した名著です。この書籍は、儒教の教えを基盤にしつつ、実業界での経験を交えた実践的な教訓を提供しています。以下に、『論語と算盤』の要約と解説を示します。
解説: 渋沢栄一は、道徳と経済は対立するものではなく、むしろ一体となるべきだと説いています。彼は、ビジネスにおいても倫理観を持つことが重要であり、道徳を無視した経済活動は長続きしないと強調しています。つまり、正直で誠実なビジネスが最終的に成功をもたらすと信じています。
解説: 渋沢は、武士の精神(士魂)と商人の才能(商才)を兼ね備えることの重要性を説いています。これは、ビジネスにおいても高い倫理観と強い意志を持つことが、成功への鍵であるという考え方です。倫理と才能が一体となることで、より健全で持続可能な経済活動が可能になります。
解説: 渋沢は、商売において無理をしないことの重要性を強調しています。無理な借金や過度なリスクを避け、安定した経営を心がけることで、長期的な成功を収めることができると説いています。これは、持続可能なビジネスモデルの構築の重要性を示しています。
解説: 渋沢は、ビジネスにおける信用の重要性を強調しています。信用がなければ、どんなに良い商品やサービスを提供しても顧客はついてきません。信頼を築くことで、長期的なビジネス関係を築き、持続的な成長を遂げることができると述べています。
解説: 渋沢は、成功するためには勤勉であることと、無駄を省く節約の精神が不可欠であると説いています。これは、努力を惜しまず、無駄をなくすことで効率的に資源を活用し、経済的な成功を収めるための基本的な姿勢を示しています。
道徳と経済・論語と算盤の名言

1867年、27歳の渋沢栄一はパリ万国博覧会の随員としてフランスに渡った。そこで目にしたのは、銀行家が社会的に尊敬され、道徳と商売が矛盾なく共存する西洋社会の姿だった。日本では「士農工商」の身分制度のもと、商人は卑しい存在とされていた。渋沢はこの体験から「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という確信を得て、帰国後に『論語と算盤』の思想を生涯かけて実践していくことになる。
"論語とそろばんというかけ離れたものを一つにするという事が最も重要なのだ。"
出典:著書『論語と算盤』(1916年)より。儒教の道徳観(論語)と経済活動(算盤)を対立させるのではなく、統合することが真のビジネスだという渋沢の中心的哲学。
"真の富とは道徳に基づくものでなければ決して永くは続かない。"
出典:著書『論語と算盤』より。道徳的基盤のない富は砂上の楼閣に過ぎず、長期的には必ず崩れるという渋沢の確信。数百の企業設立を通じ、誠実な経営こそが持続する根拠だと示した言葉。
"金儲けを品の悪いことのように考えるのは、根本的に間違っている。しかし儲けることに熱中しすぎると、品が悪くなるのもたしかである。金儲けにも品位を忘れぬようにしたい。"
出典:著書『論語と算盤』より。利益追求を否定せず、しかし道徳を忘れた利益追求を戒める言葉。経済活動における品格の重要性を説いた渋沢らしい均衡感覚。
"商売をする上で重要なのは、競争しながらでも道徳を守るということだ。"
出典:著書『論語と算盤』より。競争は必要だが、それが道徳の逸脱を正当化するものではないという警告。公正な競争こそが市場を健全に保つという信念。
"一個人がいかに富んでいても、社会全体が貧乏であったら、その人の幸福は保証されない。その事業が個人を利するだけでなく、多数社会を利してゆくのでなければ、決して正しい商売とはいえない。"
出典:著書より。社会全体の豊かさと個人の豊かさは切り離せないという渋沢の社会観。公益なき私益は真の豊かさではないという哲学で、SDGsやCSRの先駆的思想。
"大金持ちになるよりも、社会万民の利益をはかるために生きる方が有意義である。"
出典:著書より。個人の富の最大化より社会貢献に価値を置いた渋沢の人生哲学。自らも晩年は慈善事業や社会福祉に多くの時間とお金を注いだことを体現した言葉。
信用・誠実・人材の名言

"信用はそれが大きければ大きいほど、大いなる資本を活用することができる。世に立ち、大いに活動せんとする人は、資本を造るよりも、まず信用の厚い人たるべく心掛けなくてはならない。"
出典:著書より。資金より信用が大切という哲学。銀行・保険・鉄道など多くの事業を立ち上げた渋沢が、そのいずれにも信用が不可欠だった経験から語った言葉。
"事業には信用が第一である。世間の信用を得るには、世間を信用することだ。自分が相手を疑いながら、自分を信用せよとは虫のいい話だ。"
出典:著書より。信用は一方的に求めるものではなく、まず自分から相手を信頼する姿勢から生まれるという相互性の原則を示した言葉。
"人を選ぶとき、家族を大切にしている人は間違いない。仁者に敵なし。私は人を使うときには、知恵の多い人より人情に厚い人を選んで採用している。"
出典:人材論についての発言。知識・技術より人格・人情を重視した渋沢の採用哲学。家族への接し方が人の本質を映すという洞察は、現代のHR(人事)にも通じる視点。
"自分が信じないことは言わず、知ったからには必ず行うという思いが強くなれば、自然に言葉は少なく、行動は素早くなる。"
出典:著書より。言行一致の重要性を説いた言葉。信念なき言葉は空虚であり、知識を行動に変えてこそ初めて価値が生まれるという渋沢の行動原理。
"真似をするときには、その形ではなく、その心を真似するのがよい。"
出典:著書より。フランスで株式会社の仕組みを学んだ渋沢が、単に外形を模倣するのではなく本質(精神)を理解して応用することの大切さを語った言葉。
夢・志・成長の名言

渋沢栄一は生涯で500社以上の企業設立に関わったが、その原動力は「夢から始まる連鎖」への確信だった。第一国立銀行を設立した際、出資者の小野組が破産して倒産の危機に直面したが、渋沢は諦めずに古河市兵衛に私財提供を頼み込み、銀行を存続させた。この経験が「夢を持ち、計画し、実行し続ければ必ず道は開ける」という信念をさらに強固なものにした。
"夢なき者は理想なし。理想なき者は信念なし。信念なき者は計画なし。計画なき者は実行なし。実行なき者は成果なし。成果なき者は幸福なし。ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。"
出典:著書より。夢から幸福まで連鎖する論理を示した名言。「夢→理想→信念→計画→実行→成果→幸福」という人生の因果連鎖を明快に示した渋沢の人生訓。
"人は全て自主独立すべきものである。自立の精神は人への思いやりと共に人生の根本を成すものである。"
出典:著書より。自立心(自主独立)と思いやり(仁)という二つの柱が人生の土台だという渋沢の人間観。この両者が揃って初めて豊かな社会が形成されると説いた。
"もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である。"
出典:著書より。自己満足が成長の止まる瞬間だという警告。91歳まで精力的に活動し続けた渋沢自身の姿勢を反映した言葉で、現状維持を拒絶する向上心の大切さを説く。
2024年、渋沢栄一は新一万円札の肖像に選ばれた。福沢諭吉に代わって日本の最高額紙幣の顔となったのは、91歳で没するまで第一線で活動し続けた渋沢の生涯現役の精神が改めて評価されたからだ。80歳を超えても国際親善や社会事業に奔走し、ノーベル平和賞の候補にも挙がった渋沢は、まさにこの言葉を自らの人生で体現した人物だった。
"四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ。"
出典:著書・講演より。年齢にとらわれず生涯現役で働き続けることの大切さを豪快に語った渋沢の言葉。91歳まで第一線で活躍した自らの人生を体現している。
"ただそれを知っただけでは上手くいかない。好きになればその道に向かって進む。もしそれを心から楽しむことが出来れば、いかなる困難にもくじけることなく進むことができるのだ。"
出典:著書より。知識→好意→情熱の三段階で深まる動機の本質を語った言葉。論語「之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず」を渋沢が事業の文脈で解釈した名言。
忍耐・努力・継続の名言

"どんなに勉強し、勤勉であっても、上手くいかないこともある。これは機がまだ熟していないからであるから、ますます自らを鼓舞して耐えなければならない。"
出典:著書より。努力が即座に実を結ばないときの心構えを説いた言葉。時機を待ちながらも努力を続けることの大切さを示し、焦りではなく忍耐こそが成功の鍵だと語った。
"得意時代だからとて気を緩さず、失意の時だからとて落胆せず、常操をもって道理を踏み通すように心がけることが肝要である。"
出典:著書より。好調なときも不調なときも姿勢を変えず、一貫した行動原則を守ることの重要性を説いた言葉。渋沢自身も幕末の動乱から明治・大正を通じて波乱の生涯を送った経験から。
"不言実行と共に、また有言実行も大いによろしい。"
出典:著書より。黙って行動することも大切だが、目標を公言して自分を追い込む「有言実行」もまた有効な方法だという渋沢の柔軟な考え方。
"長所を発揮するように努力すれば、短所は自然に消滅する。"
出典:著書より。弱点克服より強みの伸長を優先する考え方。得意分野に集中することで自然と弱点がカバーされるという渋沢の人材・自己成長論。現代の「強みを活かす経営」の先駆け。
"全て形式に流れると精神が乏しくなる。何でも日々新たにという心がけが大事である。"
出典:著書より。慣習や形式を守ることに意識が向き、本質が失われる危険を指摘した言葉。日々革新する姿勢こそが組織と個人を生き生きとさせるという渋沢の信念。
社会・思いやり・人生哲学の名言

"心を穏やかにさせるには思いやりを持つことが大事である。一切の私心をはさまずに物事にあたり、人に接するならば、心は穏やかで余裕を持つことができるのだ。"
出典:著書より。私心・打算を捨てた純粋な思いやりが心の安定をもたらすという渋沢の精神論。ストレスの多い現代ビジネスパーソンにも響く普遍的な知恵。
"反対者には反対者の論理がある。それを聞かないうちに、いきなりけしからん奴だと怒ってもはじまらない。問題の本質的な解決には結びつかない。"
出典:著書より。反論や異なる意見を排除せず、まず相手の立場・論理を理解しようとする姿勢の重要性を説いた言葉。対立を超えた問題解決の知恵。
"死ぬときに残す教訓が大事なのではなく、生きている時の行動が大事なのだ。"
出典:著書より。言葉や遺訓より実際の行動こそが人の価値を決めるという渋沢の行動主義。晩年まで実業・社会事業・外交に身を置き続けた生き様を体現した言葉。
"できるだけ多くの人に、できるだけ多くの幸福を与えるように行動するのが、我々の義務である。"
出典:著書より。功利主義的な言葉だが、渋沢にとってはビジネスの目的そのもの。事業を通じて多くの人の生活を豊かにすることが実業家の使命だという信念の表れ。
"私は他人が掛物とか屏風とかその他の書画骨董に金を出すと同様に、慈善事業に金を費やすことをもって一種の道楽と思うているくらいである。"
出典:著書・講演より。社会事業・慈善活動を義務としてではなく自らの喜び・道楽として行うという渋沢の心意気を示した言葉。500以上の社会公益事業に携わった行動の源泉。
"一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが、処世上の第一要件である。"
出典:著書より。すべての人に固有の使命(天命)があり、それを自覚して楽しみながら生きることが幸せな人生の秘訣だという渋沢の人生哲学。儒教の天命観をわかりやすく説いた言葉。
『論語と算盤』の名言・道徳経済合一の言葉
渋沢栄一の代表作『論語と算盤』(1916年初版)は、日本のビジネス書の古典として今も読み継がれている。ここで渋沢は「道徳(論語)」と「経済(算盤)」という一見対立するものを一つに融合させる「道徳経済合一」の哲学を提唱した。彼は「論語とそろばんというかけ離れたものを一つにすることが最も重要だ」と説き、私利私欲に走らず社会の利益と一致した利益追求こそが本物の実業だと主張した。これは現代のCSR・SDGs・ESG経営の百年先を行く先駆的思想であり、孫正義・稲盛和夫ら現代の経営者にも強い影響を与えている。
"富をなす根源は仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することはできない"
出典:『論語と算盤』より。道徳に裏付けられた富だけが持続可能だという、渋沢資本主義論の核心命題。
"論語とそろばんとは一致すべきものである"
出典:『論語と算盤』より。渋沢の最も有名な格言。倫理と利潤の両立を一言で示す経営理念の原点。
"真に理財に長ずる人は、富を重んずると同時に、仁義道徳を重んずる"
出典:『論語と算盤』より。本物の実業家はお金と道徳を同時に重んじるという渋沢独自の経済観。
"商売で得た利益は、私利私欲ではなく社会全体の利益として使われるべきである"
出典:渋沢栄一の講演より。利益を個人の富ではなく社会還元の手段と位置づける、現代CSRの先駆け。
"金は大切にすべきだが、同時に軽蔑すべきものでもある。これを軽蔑するものは、金を大切にする資格を持たない"
出典:『論語と算盤』より。お金に対する絶妙なバランス感覚を示す、渋沢独特の金銭哲学。
"事業の大小は、その従事する人の人格によって定まる"
出典:『論語と算盤』より。事業規模は売上や資本ではなく経営者の人格で決まるという人間主義経営論。
渋沢栄一の成功・信用・独立自尊の名言
渋沢栄一は500社以上の企業設立に関わりながら、個人の富を蓄えることに執着しなかった稀有な実業家である。彼は財閥を作らず、自分の子孫に会社を継がせず、むしろ社会全体の発展を目指した。成功の定義について彼は「数字や地位ではなく、社会にどれだけ貢献したか」と一貫して語った。また「信用」こそが商売の根本だと考え、「信用は金融の母、信用は資本の親」という名言を残している。ここでは渋沢の成功・信用・独立自尊に関する名言を紹介する。
"信用は一切の元本である"
出典:渋沢栄一の商業論より。信用こそが全ての商業活動の土台だという、短くも本質的な格言。
"信用は、いくら積んでも積みすぎることはない"
出典:渋沢栄一の商業道徳論より。信用は無限に蓄積すべき唯一の資産だという教え。
"人は信用を失えば、一切を失う"
出典:渋沢栄一の講演より。信用の損失はビジネスだけでなく人生全てを失わせるという強烈な警告。
"成功や失敗といった価値観から抜け出し、超然と自立して自らなすべきを行う者は、天寿を全うし得る人であり、真の幸福を味わえる人だ"
出典:『論語と算盤』成敗と運命より。成功・失敗の二元論を超越することが真の幸福だという渋沢人生観の頂点。
"自ら箸を取れ"
出典:渋沢栄一の言葉より。人生の箸は他人に取らせるな、自分で動けという独立自尊の短い格言。
"世の中に無駄なものは一つもない"
出典:渋沢栄一の言葉より。どんな失敗も経験も人生の糧になるという、肯定的な資源観。
渋沢栄一の人生・仕事・志に関する短い格言
渋沢栄一は91歳で亡くなるまで現役で働き続けた。晩年には600以上の社会公益事業に関与し、関東大震災後の復興にも私財を投じた。「死ぬまで働く」ことが彼の人生観であり、そのエネルギーの源は「志」だった。「一人ひとりに天命がある」「志を立てずに何ごともなし得ない」と彼は繰り返し語った。ここでは人生・仕事・志についての渋沢の短い格言・座右の銘にできる言葉を紹介する。現代のビジネスパーソンにも刺さる、時代を超えた知恵が詰まっている。
"四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら百まで待てと追い返せ"
出典:渋沢栄一の人生観より。91歳まで現役を貫いた渋沢らしい長寿の気概。晩年の名言として有名。
"志を立てることは、全ての事業の根本である"
出典:渋沢栄一『立志論』より。事業の起点は資金でも技術でもなく志だという、起業家精神論の原点。
"元気にまさる宝なし"
出典:渋沢栄一の健康論より。健康と気力こそが最大の資産という、晩年まで現役だった渋沢の実感。
"人は忙しい中にも、なおゆとりを持つことが大切である"
出典:渋沢栄一の仕事論より。多忙の中でも余裕を失わない精神が本当の有能さだという教え。
"一日の仕事の後、その日の反省をしないものは成功しない"
出典:渋沢栄一『立志論』より。成功の秘訣は毎日の反省にあるという、孔子「吾日三省吾身」を継承した言葉。
"どんな仕事も、一心になってやれば必ず道は開ける"
出典:渋沢栄一の仕事論より。仕事の大小にかかわらず集中と熱意が道を開くという実践哲学。
"現代に生きる者の務めは、後代に恥じない事業をすることである"
出典:渋沢栄一の講演より。現代のビジネスは未来世代への責任を伴うという、サステナビリティの先駆的思想。
渋沢栄一の若者・教育・後継者への言葉
渋沢栄一は実業の傍ら、教育事業にも生涯を捧げた。一橋大学、日本女子大学、同志社大学、早稲田大学などの設立・運営に関与し、特に女子教育の近代化に尽力した。彼は後進の実業家・若者に対して極めて温かく、「渋沢翁は誰にでも会ってくれた」と当時のエピソードに残っている。若者向けの講演や著書も多数残し、「青年は大きな志を抱け」「一日の計は朝にあり、一生の計は青年にあり」と繰り返し説いた。ここでは若者・教育・後継者への渋沢の名言を紹介する。
"一人の人間として一生の計を立てるには、まず大きな志を立てよ"
出典:渋沢栄一『青淵百話』より。青年に向けて志の重要性を説いた、渋沢の教育論の原点。
"真の学問とは、人のためになることを実践することである"
出典:渋沢栄一の講演より。机上の学問ではなく社会貢献の実践こそが真の学問だという、渋沢流教育観。
"青年は、読書によって自らを磨き、実践によって自らを鍛えよ"
出典:渋沢栄一の青年向け講演より。学びと実践の両輪で人間を作り上げるという教育方針。
"教育は未来への投資である。これを惜しむ国は必ず衰退する"
出典:渋沢栄一の講演より。教育投資の必要性を百年以上前から説いた先見的な言葉。
"私は後進にすべてを譲る。私の財産は、私と共に消える"
出典:渋沢栄一晩年の言葉。財閥を作らず家族に事業を継がせなかった渋沢らしい無私の精神を示す名言。
渋沢栄一の語録・有名な格言集
渋沢栄一は膨大な講演・著書・書簡を残し、その語録は『青淵百話』『論語講義』『実験論語処世談』などにまとめられている。ここでは『論語と算盤』以外の著作や講演から、現代でも通用する珠玉の格言を集めた。渋沢の言葉の特徴は、抽象論で終わらず必ず実践に繋がっていることだ。「言うは易し行うは難し」を自らの行動で覆し続けた渋沢ならではの重みがある。
"利を見て義を思う——これが真の商人の道である"
出典:渋沢栄一の商業道徳論より。利益の前で義を忘れないことが商人の本道だという格言。
"事は成らざる時に於いて結果を論ぜず、事の結果を見る時にまた一段の修養を積む"
出典:渋沢栄一『青淵百話』より。結果が出る前は過程に集中し、結果が出た後は自己修養に励むという姿勢。
"社会に利益を還元することこそ、実業家の最高の誉れである"
出典:渋沢栄一の講演より。経営者の最大の栄誉は社会還元にあるという価値観。
"国家のために身を尽くすことが、真の実業家の使命である"
出典:渋沢栄一の講演より。個人の利益を超えて国家発展に寄与するのが実業家の使命だという愛国実業家論。
"人は、いかなる状況にあっても、正しい行いを続けなければならない"
出典:渋沢栄一の道徳論より。順境も逆境も正しさを貫くことが人間の根本だという渋沢倫理の核心。
"商業は、国家の富を増進する最大の手段である"
出典:渋沢栄一の講演より。武士の価値観が残る明治初期に、商業の地位向上を訴えた歴史的な名言。
"得意の時は失意の時を思え、失意の時は得意の時を思え"
出典:渋沢栄一の処世訓より。順境の時には謙虚に、逆境の時には希望を持てという、渋沢流バランス論。
"仕事が忙しくなればなるほど、精神は静かでなければならない"
出典:渋沢栄一の仕事論より。外が騒がしいほど内が静かであるべきだという、武士の剣術にも通じる精神論。
"時代の変化を見抜き、その先を歩む者が勝者となる"
出典:渋沢栄一の経営論より。幕末から明治・大正・昭和と時代を渡り歩いた渋沢ならではの先見性論。
よくある質問
渋沢栄一の『論語と算盤』の名言で最も有名なものは何ですか?
渋沢栄一『論語と算盤』の最も有名な名言は「論語とそろばんとは一致すべきものである」です。これは渋沢の経済哲学「道徳経済合一」を一言で表しており、倫理(論語)と利潤(算盤)を対立させず両立させるという近代日本資本主義の根本思想を示しています。他にも「富をなす根源は仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することはできない」「真に理財に長ずる人は、富を重んずると同時に、仁義道徳を重んずる」「事業の大小は、その従事する人の人格によって定まる」などが『論語と算盤』の代表的名言です。
渋沢栄一の「優れたもの」についての名言はどんなものがありますか?
渋沢栄一の「優れたもの」に関する名言として、「真に優れた人物は、成功や失敗を超越して自らの道を歩む者である」「成功や失敗といった価値観から抜け出し、超然と自立して自らなすべきを行う者は、天寿を全うし得る人である」などがあります。渋沢は「優れたもの」の基準を地位・財産・肩書きではなく、「人格」「志」「社会貢献の実績」に置きました。彼自身が500社以上の企業設立に関わりながら財閥を作らなかったのは、この「優れた人間性」の基準を自らに課していた証拠です。
渋沢栄一の短い格言・座右の銘にできる言葉は?
渋沢栄一の短い格言として座右の銘にしやすいものは、「論語と算盤」「信用は一切の元本である」「自ら箸を取れ」「元気にまさる宝なし」「世の中に無駄なものは一つもない」「志を立てよ」などです。いずれも10文字前後の短さで覚えやすく、ビジネス・人生の指針にできる力があります。また「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り」は、長く現役を貫きたい人にとっての名言として、今も多くのビジネスパーソンに愛されています。
渋沢栄一の名言は論語とどう関係していますか?
渋沢栄一は少年期から『論語』を愛読し、生涯のバイブルとしました。彼は『論語と算盤』の中で「論語で一生を貫いてみせる」と宣言し、事業の判断基準を常に論語の教えに求めました。「信」「仁」「義」「礼」「智」の五常を実業にも持ち込み、「商人は信を重んじよ」「仁なき商売は罪悪である」「利を追うばかりで義を忘れれば破滅する」などの言葉を残しました。渋沢にとって論語は道徳書ではなく「現代の実業家が読むべき経営哲学書」であり、そこから引き出した教えが彼の名言の源泉となっています。
渋沢栄一の成功・失敗に関する名言を解説してください
渋沢栄一の成功・失敗観を最も象徴する名言は「成功や失敗といった価値観から抜け出し、超然と自立して自らなすべきを行う者は、天寿を全うし得る人であり、真の幸福を味わえる人だ」(『論語と算盤』成敗と運命より)です。渋沢は成功・失敗という結果論に一喜一憂することを避け、「自分のなすべきことを淡々と行う」ことこそが真の幸福だと説きました。彼自身、明治維新の激動の中で幕府側から新政府側、さらに実業界へと身を転じながら、その都度「やるべきこと」を見定めて動き続けました。この超越的な成功論は現代の起業家にも深い示唆を与えます。
渋沢栄一の語録で若者・青年に勧めたい名言は?
渋沢栄一が若者・青年に残した名言で特に勧めたいのは、「一人の人間として一生の計を立てるには、まず大きな志を立てよ」「青年は、読書によって自らを磨き、実践によって自らを鍛えよ」「志を立てることは、全ての事業の根本である」「一日の仕事の後、その日の反省をしないものは成功しない」などです。渋沢は生涯を通じて青年育成に熱心で、『青淵百話』『論語と算盤』は今も若いビジネスパーソンに読み継がれています。彼の教えは単なる精神論ではなく、500社以上の起業経験から来る実践知である点に、現代でも通用する強みがあります。